時はせみの鳴く夏の終わり頃
深い緑に覆われた森林に霧のような湯気が立ちのぼる温泉
どこからか心をいやしてくれるクラシックの旋律
その中、私ははじめて音楽講習会を受けました。
はじめて外国の先生についてレッスンを受けるということは
なにもこれも私のあこがれでした。
今まではテレビや聴講で聴くだけでしたので
受講は初めて・・・わくわくどきどき
もちろん、会場から歩いて5分のユースホステルに泊まっちゃいました!!
会場は深い緑に覆われていて中には温泉の他に広々としたスキー場がありました。
初日の説明会によるとなんと夜に熊が出るとか
そんな事よりも講習会の受け方の方が多少不安でした。
何しろシューマンのクライスレリアーナ第1番から3番までしか用意していなかったからでした。
初日のレッスンにて私は最初にみんなの前で演奏しました。
最初にS先生がおっしゃった言葉
楽譜をかじりついてみるのではなく遠くをみてごらん。
なるほどまるで講演会するのと同じだな。
それからもレッスンは思わぬ展開になってしまいました!!
なんとこの先生は音楽史を踏まえていろんな時代を旅する旅人だったのです。
レッスンを受ける生徒さんの順番はバラバラで
日によって4時間超えるときもありました。
あの先生のレッスンはおもしろく何度も刺激を受けてしまう毎日
なんと現代音楽好きで日本人作曲家のを持ってくると喜ぶそうです。
さっそくわたしは大急ぎで木下牧子の「9つのプレリュード」の1、3番をおさらいして持ってきました。
もちろん先生は気に入ってくれたものの厳しく注意されました。
なんとその曲は厳格なリズムが問われる曲だったのです。
気のままに弾いていた私にとって新たな発見でした。
当時CDも出ていない楽譜だけがたよりの音楽
先生も他の受講生の方も初めてだったのでレッスンの際になんとか説明しました。
ましてやプロのための講習会だったので責任を感じました。
さらにテンポについて新たなアドバイスが・・・
実はいうとメトロノームのテンポと人間のテンポは違ってて
テンポを自分のものにするには歩きの工夫が必要であるということでした。
要するにメトロノーム+歩きの工夫ということでした。
わたしは今までこんなの聞いたのはじめてでした。
でも、つい先月にヨーロッパから帰ったばかりなので何となく想像はつきました。
たしかに西洋人の歩き方と日本人の歩き方には大きな違いがあるのです。
それはリズム感やテンポ感のあるかないかです。
いままでメトロノームで悩んでいたわたしはなるほどと思いました。
夕方頃にはほぼ毎日コンサートがあり多くの受講生が聴きに行っていました。
最初は聴きたいのだけ聴こうかと思ったけど
同じユースホステルの部屋の人からせっかくだから毎日聴いた方がいいと言われ
オープニングをのぞいて毎日聴きました。
聴く喜びを味わったわたしはついでに教会の音楽も聴きに行きました。
音楽の競争社会に生きていたわたしははじめて音楽のよさを知りました。
演奏とはいっても決まった形がある訳ではないということ
学生時代、いつも譜面&言われた通りに弾かされていたわたしにとって何もかも新鮮なものでした。
コンサートも落ち着いて聴くことができて本当にうれしい。
おしゃべりも騒音もなく演奏者の音が直に伝わってくるのです。
特に人気のあるコンサートでは合唱団の席から見ることができました。
演奏者やオーケストラ団の後ろ姿も見えるのです。
こうして毎日が過ぎピアノのレッスンに練習、聴講と充実し
たまには気分転換に湯畑にいって友達と楽しみ饅頭を食べたりしました。
湯畑近くの足湯はとくに癒しそのもの。
旅&勉強の疲れを解きほぐしほっとさせてくれました。
湯畑の他にもかわいい店が建ち並びなかでも「ガラス蔵」がお気に入り
その店の体験コーナーでトンボ玉のネックレスを作りました。
ほかにも片岡鶴太郎の美術館があり絵画を鑑賞
草津の温泉町は小さいとはいえかわいらしい街でした。
とうとう講習会の最終日になってしまい朝はスチューデントコンサート、
夕方はクローズコンサートにパーティ
パーティにてみんなでおしゃべりしたり飲み食いしたりささやかに楽しみました。
わたしはときどきピアノの他の先生に話しかけて
(S先生はもうすでに草津を出発した後でした。)
スチューデントコンサートについて語りました。
講習会は思ったほどきつかったけど夢がありました。
外国人の先生や他校出身者ともはなせてよかったとつくづく思いました。
なかでも留学の話やザルツブルクの講習会についてのアドヴァイスも少量ながらもらうことができました。
深い緑に覆われほんわかと湯気がたちこめる草津の郷
温泉街とはいえクラシック音楽にふさわしいのどかな街
本当にほっとする街でまた行きたくなります。
でもできたら母も連れて行きたいものでした。
あれから2年後、わたしはザルツブルグに行き(「ヴォルフェル君のおもちゃばこ」を見てね)
またさらなるハードルを乗り越えることになるのでした。
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